WORKS

既存の空間の「裏」からつくる「表」の顔

ダンスや空手等の多種多様な種目を教えるスポーツスタジオです。

このテナント区画は機械室が区画内に入り口があったり，開口部のないRC造の躯体が剥き出しな区画で，人が使う空間としてはあまりいい環境とは言えませんでした．
一方でスポーツスタジオという用途は，大きな声や音楽が流れる音環境の対応であったり，壁の強度をある程度担保しつつ破損のない仕様を考える必要がありました．

RC躯体表しやグラスウールマットのような機械室の用途特有の仕上げは「裏」で使われることが多いです．一方で人の使うスタジオのような「表」の仕上げとしても使えます．「裏」でも「表」でも使う仕上げ材の持つ特性の共通点をキッカケに，環境の持つ「裏」の質感を「表」にまで引用する空間の仕上げ方を模索しました．

スポーツスタジオとしての「表」になるファサード面は，「裏」のRC造の躯体とトーンを合わせつつ，塗装の明度のみをコントロールして色を変えることで，「習う」という積み重ねのカタチを表現しました．
段階的に明度のみを変えていく操作により，一つの明度の帯の中でもグラデーションを付けたように見える新たな「表」の質感となりました．